2017年11月18日土曜日

実施報告5:分科会「命を頂く―獲れた魚の調理教室」~観光×地域振興≒教育~



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★テーマ2

「命を頂く―獲れた魚の調理教室」~観光×地域振興≒教育~ 


【キーワード】
漁業体験、学校教育、地域振興、観光、インタープリテーション、食育

【内容】

地引網漁体験は学校行事や体験型観光として行われています。地引網漁でとれた魚の調理を通して【環境教育につながる食】【命の教育】といった視点でのプログラムの在り方について考えます。
 また分科会後半では「学校教育としての地引網漁」「地域振興としての地引網漁」の2つのグループに分かれ、それぞれのテーマに合う地引網漁体験プログラムを考え、教育・観光における海辺の体験活動の在り方について議論を深めました。


こちらの分科会は木漏れ日が気持ち良い野外炊飯場にて行いました!


まずは大房岬自然の家 松田料理長より、魚の捌き方を習いました!

地引網漁でとれた魚

まずは松田料理長のお手本から
つい先ほどまで海にいた魚を捌く。まさに命を頂く瞬間です。


そして実際にチャレンジ!


真剣な表情、手には力が入ります。
時折料理長のレクチャーを通して、魚と向き合いました。
近くの研究所にいる東京海洋大の学生も助っ人参加!
捌いたアジはなめろうとして、晩ごはん時に美味しくいただくことになりました。分科会後半は、地引網漁体験プログラム作りのワークショップです。

地域振興と学校教育、2つの視点に分かれプログラム作りを行います。



【学校教育チーム】


まずは地引網漁体験の良かったこと、悪かったこと、もっとこうすれば良かった、といった感想を書き出します。


良かったこと
悪かったこと


もっとこうすれば良かったのにな!


そして学校行事として地引網漁体験をする際、ただ体験として終わらせるのではなく、地域の文化や自然を学ぶ、そして食育まで取り込んだプログラムにするには、どのような要素が必要かを考えました。


でてきた意見をジャンル分けし、実際のプログラムに必要な条件、そしてプログラム計画を練りました。
時間、人数、価格、協力者の条件は何がベスト?
学校教育として地引網漁体験を行うには、1日がかりで行うこと、人数は50~60人でひと網、協力者は「食べる」ことまで視点にいれるのなら、漁師さんの奥さんの存在も必要不可欠だという結果に至りました。網を引いたあとはBBQ、ではなく、体験前後の問いかけや振り返り、現地の方との交流の組み込み方について、更に議論は続きました。

【地域振興チーム】




こちらもまずは地引網漁の振り返りから。良かったことや悪かったことを書き出します。特に漁師さんともっと関わりたかった、地引網の話が聞きたかった等、現状のプログラムではまだ地引網漁「体験」にとどまっており、「学び」にまでは繋がっていないことを感じました。


体験を通してより「学び」を深めるためには?

 では体験観光として、何を改善すべきか?それぞれの体験談や、今取組んでいることを実例に出しながら意見交換を行います。


最後は各グループから、理想の地引網漁体験プログラムを発表しました。


「地引網漁」と一言にいえども、参加者が誰か、目的は何かによって、異なるプログラムが生み出されました。地引網漁は、その労働力に対する漁獲量も減り、沖合船引網漁の発展などもあって衰退の道をたどっています。しかし観光や教育での漁業体験としては、非常に多くの学びの種が詰まっています。その価値をより高められるような、発見の多い分科会となりました。


◆報
江利川法孝 (沖縄県名護市 久志地域交流推進協議会)
穴原航太郎
上東大起 (上越教育大学修士課程学校教育研究科 自然系教育実践コース理科)

実施報告4:分科会「未就学児に届ける体験活動-ミニ水族館と海のようちえん」


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地引網漁体験を行い、南房総の海を楽しんだ後は、いよいよフォーラムの核となる分科会の始まりです。分科会は海辺のピクニックミーティングや地引網漁体験を通して得た気付きを、更に深める時間。フォーラム2日目の午後、たっぷり3.5時間の分科会です!


地引網漁体験をもとに、興味があるテーマに沿って学びを深めます。


分科会のテーマは大きく3つ。参加者それぞれの興味に合わせて選んでいただきました。


 ★テーマ1

「未就学児に届ける体験活動-ミニ水族館と海のようちえん」 


【キーワード】
幼児教育、森のようちえん、水族館、未就学児・低年齢期に向けた海の体験活動

【内容】

近年注目されている幼少期に向けた海の体験活動。海辺の体験活動の中でも、特に未就学児を対象とした海の活動実施施設や団体は少なく、活動の進め方や指導方法も確立されてはいません。本分科会では地引網漁でとれた魚を水槽に移し、野外でミニ水族館を開館。地域の未就学児を対象としたプログラムを考え実施しました。プログラム作り・準備・実践を通して、幼少期ならではの活動の進め方や注意点、地域の環境の活かし方について考えました。


アクアマリンふくしまさん主導のもと、野外ミニ水族館の開館準備中!


分科会のはじめに、特に未就学児に向けた海の活動についての現状や、実際に活動を行っている南三陸里の家haloの藤田さんにお話を聞きました。


自宅の庭や南三陸町の自然を活かし森のようちえんを行っている藤田さん

プログラムに関して意見交換を行った結果、特に子供たちに対しては極力「ダメ」という言葉を使わず、自由にしてもらうことを意識しながら、タッチプールのプログラムを実施しました。


地引網漁を行っていただいた漁協の方からも、生物をお借りしました。
まずは自分たちが体感してみよう!本分科会には学生も多く参加しました。
これは何?!大人同士でも盛り上がります。幼少期の子供たちはどんな反応を示すでしょうか?



いよいよミニ水族館のはじまりです!
事前に地域の方々に声をかけていた為、続々と親子で来てくださいました。

普段は見れない生物に、子供たちも興味津々!
最初はおそるおそる見ていた子供たち。見守りながら、一緒に緊張をたのしむ時間。
一度スイッチが入ると、止まりません♪


はじめて小さな子供と触れ合う学生も多く、どう関わるのが良いかな?と試行錯誤。一緒に楽しんじゃえ!
生物に飽きた子は浜で遊ぶ。それもまた良し!


プログラムを終え、今回感じた事や気付いた事を全員でシェア。

未就学児を対象とした海の体験活動において、私たちがやるべきことはまず【安全管理の確立】であることが挙げられました。タッチプールでは子供たちの個性光る反応が見られたことから、禁止事項を設けるのではなく「見守る」スタイルが、子供たちの五感を引き出すことに繋がると体感しました。


いつもは海の中で、こうやって泳いでるんだね~

ホームセンターで簡単に手に入れられるプラスチックケース等の道具で十分に楽しんでもらえることも分かり、学生からは「身近なものを利用した、誰でもできる小さなプログラム作りならできそう?!」との声も聞こえてきました。

最後にアクアマリンふくしまさんより、9月に水族館で「アクアマリンこどもまつり」というイベントがあるので、今回の分科会をもとにまた幼少期の子供向けプログラムを作ってみませんか、とのお誘いもありました♪ 各々の環境を活かしながら、未就学児の海の体験活動の場を少しずつ増やしていきたいですね。

ご協力いただいた環境水族館アクアマリンふくしまさん、岩井富浦漁業協同組合の福原さん、大変お世話になりありがとうございました!


◆報告
栗原 未樹 (帝京科学大学生命環境学部アニマルサイエンス学科)
古川 麗 (東京農業大学 森林生態学研究室)

実施報告3:2日目/地引網漁体験と南房総の海

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5月28日(日)、海辺フォーラム2日目のご報告です!
この日の全体会は、実行委員による活動紹介と、海辺フォーラムのプロジェクト紹介です。

「つながり」をテーマに科学コミュニケーター高橋さんによる活動報告

まずは共同実行委員長の高橋さんより、全国プランクトン行脚の旅と称し、各地のプランクトン採取とともに地域の子供たちへワークショップを行った報告をしていただきました。「水があればどこでもできる」「海やサンゴの話にも持っていける」等の良いところや、「集まったデータを簡易的なデータベースに出来ればなおよかった」といったお話まで。


プランクトンから海やサンゴの話につながる!


ひとつの地域で完結するのではなく、同じプログラムが各地で行われることで、様々なフィードバックとともにより良いものとなったそうです。


大きく見ればこの「海辺の環境教育フォーラム」も同様に、各回毎に開催地域・実行委員が変わりながら全国各地で開催されています。参加者の世代が多様になっている今こそ、これまでの変遷を知り、大事にされてきたことを繋いでいきたいと思います。この報告もそのひとつですね。


こちらは一体何を・・?

お次は海辺の環境教育フォーラムが関わるプロジェクトの紹介です。



まずは今年1月にサイトがオープンした、海洋学習教材サイトLab to CLASS(→リンク)。そのまま使える海洋学習教材が無料でダウンロードでき、海にまつわるコラムや、教材に関する情報が盛りだくさんのサイトです。

サンゴ礁ジグソーパズル
空き時間にチャレンジ。サンゴ以外の絵でも作ってみたいとの声が。

そしてもうひとつが日本全国みんなでつくるサンゴマップ(→リンク)のご紹介。


広く一般の方々まで簡単に参加できるサンゴマップ。サンゴの白化時にもこのデータは大変有効だったということで、更なる参加を呼びかけました。来年2018年は国際サンゴ礁年。できることから、始めてみませんか?


2日目ということもあり、少し眠そうな目や早く海に行きたい様子もチラホラ・・・(笑)さあ、海へ繰り出しましょう!!

歩いて多田良海岸へ移動。気分は海に向かう夏休み♪

今回のフォーラムテーマは「大人の本気の海遊び」というわけで、メインプログラムとして参加者全員で地引網漁体験を行いました。南房総の自然や文化を知るひとつのツールとして体験する地引網漁。参加者同士の【共通体験】があることで、その後の分科会をより活発な意見交換できる場にしたい、という意図もありました。

浜に着きました!待ちきれずに海へと向かいます。

地引網、皆さんは経験したことがありますか?子供の頃に体験したことがある方もいるかもしれませんね♪ 大人になったのだから、そんなに力を使わなくても簡単に引けるのでは?と余裕の表情で海に向かいました。

富浦漁協の皆さまのご協力のもと、準備が揃いました!
よし、引き始めるぞ~~~!
せーのっ!いち、に、いち、に、いち、に!
両者、真ん中に近づいて近づいて~!掛け声ととも期待も高まります!

網を引くこと約20分。いよいよ先が見えてきた?!
お!おお!?興奮が隠せません。

そして、ついに!
とれた~~~!!!
ピチピチ飛び跳ねる魚に大きな歓声があがりました!!

さてここからが面白いところ!何がとれたのか?どんな特徴の魚なのか?!
わくわくしながら集まります。
「アジ!コショウダイ!これ上手いんだよ~あ、ダツが跳ねた!」

とれ高は「まあまあ」という所だそうですが、とれた魚の種類に興味を示す人や、「この人数でこの量なんだね」「思ったよりも時間があっという間だった」「もっと漁師さんの話を聞きたい!」など様々な感想が聞こえてきます(^^)同じ体験でも感じ方は本当に人それぞれ。更に普段から海や環境教育に関わる・興味を持つメンバーが集うことで、その幅がどんどん広がります。


網の片付けが引っ張る以上に大変!
砂だらけになりながらも満点の笑顔。やっぱり海は気持ち良い!

地引網のあとはしばしフリータイム。思い思いに南房総の海を楽しみます。最後の片付けまで地引網漁の様子を見学する方も。

とっても細かい砂で足が気持ち良い浜です。
漁師さんに話を聞く方も。
そして多くの人が魅了されていたのがこちら!マテガイをとっている方に、その方法を見せて頂きました。

興味津々。塩をかけて、待つ!
ぴょこっ!と飛び出ました!
マテガイとり。干潮ならではの楽しみですね。
ただただ気持ち良い海で遊ぶ子たちも。大房岬をバックに♪
裸足が一番!本当に気持ちの良い天気です!
キンセンガニもいました!!(*^^*)


ただ網を引くだけでは終わりません!今回の海辺フォーラムの後援をいただいている環境水族館アクアマリンふくしま(→リンク)スタッフの皆さまが、なんと水槽を用意して下さいました!とれた魚をできるだけ傷つけないように水槽に移し、生物観察の始まりです。

普段見る生物とは違っていたり、じっくり見ると新たな発見があったり。
自分の地域でもこれは見れるよ!そんな話から海のつながりを考えることも。
「皆さんの興味の範囲が広すぎて、知らない事ばかりで、本当に面白い!」と学生さんの感想もあり♪

お腹も空いてきたところでお昼ごはんタイムです。もちろん海を見ながら、のんびりと・・・。これ、本当にしあわせですよね。

目の前に広がる海、そして大房岬。
芝生の上で、いただきます!
良い笑顔♪

2日目午前中、海を大満喫した時間でした。

【環境教育はあくまで手法であって、「どんな未来を作りたいか」が大切。】そんな言葉をふと思い出しながら、このかけがえのない時間をずっと残していきたいな…と思ったのでした。

さて、午後はたっぷり3.5時間の分科会です!